大判例

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東京地方裁判所 昭和24年(ワ)431号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事実)

原告は本件家屋の所有者であるが、第一に、その前所有者訴外Aと被告Y1らの被相続人であり且つ本件家屋の賃借人であつた、亡Bとの間でなされた賃貸借の合意解除を、第二に、被告Y1らが原告に無断で、本件家屋の内階下三疊の間を被告Y2に、その二階全部を被告Y3に轉貸したことを理由とする賃貸借の解除を主張して被告らに対して本件家屋の明渡を求めた。

被告らは原告の第一の主張に対しては解除條件成就の抗辯を主張し、第二の主張に対してはY2、Y3の本件家屋の各使用関係はいずれも轉貸に該当しないと爭つた。

(判断)

裁判所は、原告の第一の主張については被告らの抗辯を認め、第二の主張については「轉貸」に該当せずとした。

「……によれば被告川又(Y2)は被告伊藤絢子(Y1)の小学校当時の舊師であつて同被告は病弱のため被告川又に大変世話になつたことがあり昭和二十三年七月頃被告川又から住居に困るから他に適当なところが見付かるまで一時是非置いてくれと懇願されたので被告伊藤太美(Y1他のY1らの母)もやむなく之に應じ階下三疊一室に居住させてゐるのであつて被告川又から毎月三百円の支拂をうけてゐるものゝこれは部屋代でなく電燈料瓦斯代であることが認められる。而して民法第六百十二條に所謂無断轉貸を原因とする賃貸借の解除は賃借人の賃貸人に対する信賴関係を裏切る行爲に対する制裁であるところ本件のやうに住宅難の現在賃貸借人がその子供の小学校当時世話になつた舊師から住居に困窮の末一時使用を求められ同人に対し賃借家屋の一部使用を許したとしても賃貸借契約における前敍信賴関係を破るものと謂えないこと勿論であつて從つて被告伊藤太美の右行爲をもつて轉貸と謂ふを得ない。又被告伊藤太美本人訊問の結果によれば被告昭和興業株式会社(Y3)の取締役たる訴外松島政太郞は被告伊藤太美の叔父であつて同被告が夫潔(B)死亡後收入の途なく生活に困つてゐるのでその一助として本件家屋の二階を同被告会社の社員が上京したとき宿泊に使用したり又被告会社に来客があつたとき随時使用することゝし毎月千五百円を支拂つてゐるのであつて被告会社において右二階をいつも使用してゐるといふ状態にあるのでないことが認められる。從つて被告会社は本件家屋の二階に対し独立した占有を有せず從つて被告会社は民法第六百十二條第二項の第三者に該当しないものと謂はなければならない。」

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